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【過去記事】2004年 丹沢・早戸川 [山関連]

当時HPに載せていたものの転載になります。
登山コースや道路状況は当時のものですので、現状とは異なる場合があります。
ご了承ください。

目的地:丹沢山・鬼ヶ岩(神奈川県)
行動日:2004年 7月 2日(金)
天気:晴れ
コースタイム/コース:
 丹沢観光センター 11:45/沢沿い
 伝道 12:05/沢沿い
 河原で撮影 13:00~16:00/沢沿い
 伝道 16:45/沢沿い
 丹沢観光センター 17:05/沢沿い
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早戸川/丸太橋(1本目)
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今回は沢の撮影が目的で、ピークは目指さない。
キューハ沢出合も考えたが、早戸川にした。
山と高原地図28「丹沢」(昭文社)より

最近、身体の調子が悪くて…眠れなくて起きれなくてという、だらしない状態が続いていた。
会社に休みの電話を入れてボーっとしていて、気晴らししてこようと思った。
10:00に家を出ると、まだラッシュアワーの余波で厚木市内は渋滞だらけ。
痛み出す胃をラジオに聞き入ってごまかしながら、ようやく清川村に入る頃、胃の痛みを忘れることが出来た。
梅雨はどこに行った?と言わんばかりの天気。
陽射しが腕をジリジリと焼いていく。
虹の大橋を渡り、鳥屋から丹沢観光センターへの峠道を進む。
朝と違い車も多く、先月と同じ路肩に車を停めたのは11:30頃だった。
ゲート付近の路肩には、4台も車が停めてあった。
ほとんどが釣りに来ている人なんだろうなあ…と思いながら準備をし、ゲートをくぐったのは11:45のこと。
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魚止橋より。水量は先月と変化はないか…。
伝道までの林道を歩き出すと、先日の台風か大雨のせいか新たな土砂崩れに出くわす。
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倒れた木々の枝をかき分けて乗り越えなくてはならない。
そのうち…この林道は使えなくなるんではないだろうか…?
そう思ったりする。
20分ほど歩いて伝道までたどり着くと、前回復路で使った方のルートで登ることにした。
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案内板の裏手に標識がある。
伝道沢を渡り傾斜のきつい杉林を進んでいくと、造林小屋についた。
割れたガラス窓は、透明アクリルで打ち付けてあった。
黙々と木橋を渡り、巻き道を進む。
急な岩壁を慎重に下りると河原に出た。
1本目の丸太橋があるはずだった…。
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見事に流された丸太が、その事柄を物語っていた。
どっちでもいいことだが…台風か?大雨か?
余裕があったら…雷滝を探索してみようかと思っていた私としては…かなりショッキングな事実だった。
道は反対側に続いている。
私のいる左岸(上流から下流に向かって左)を上に戻っても、進めそうな斜面はない。
そうこうしているうちに、釣り人が上流から下ってきた。
丸太橋のあったポイントの浅瀬をバシャバシャ渡っていった。
私は河原を上流に向かって進むことにしたが、先へ続いていそうな岩まではジャンプしても届きそうにない。
幸い、淵の縁に水深20cmほどの浅瀬があったので、そこに踏み込み、自分の背丈ほどの岩にしがみついてよじ登った。
岩の上に這い上がると、靴の中に少し水が染み込んでくるのがわかる。
臆せず岩伝いに上流に進むが…やはり抜けられそうにはない。
やむを得ず切り立った岩の隙間にある土砂を駆け上がると、そのまま藪に踏み込む。
しかし…その考えが間違っていたことに気づくのには、時間はかからなかった。
生い茂った枝やつるに手足を取られ、少しも進めない。
まるで、くもの巣にかかった虫のような気分だった。
丸太橋のあったポイントの浅瀬を渡ってしまえば良かった…と後悔するが、もう後の祭りだ。
きっと…足を滑らせて滑落するのは、こういう時なんだな…ふと、思った。
上に向かうのは諦め、再び河原に下りることにした。
悪態をつきながら枝を振り払い、先ほどの河原より岩壁ひとつ先に下りたのは、13:00近くだった。
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もう、戻ることも出来ない…写真左手の岩まで沢を渡るしかない。
5分ほど写真を撮りながら水深を読み、渡れそうなルートを考える。
そして、一気に水に入った。
ひざ位まで冷たい水に浸かっているのがわかるが…気にしている場合ではない。
流れもそこそこ早いので、バランスを崩したらひっくり返されてしまう。
ようやく対岸の岩までたどり着くと、スパッツや靴を脱ぎ、靴下まで脱いで、岩の上に並べた。
この場所はちょっとした落ち込みになっており、その直下は足が届かないほどの深さの淵になっている。
ロケーションとしては良い方だ。
すでにこれより先には進む気が失せていて…(笑)
ここで食事を取ったら右岸の道を下流に戻り、丸太橋のあったポイントの浅瀬を渡って帰ろうと思っていた。
水面や泡がキラキラ輝き、淵のブルーは何とも言えない神秘さを持っている。
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岩に座り、冷たい水に足をつけると、それまでの事などどうでも良くなってきた。
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大きな平たい岩がランチのテーブルとなった。お湯を沸かしている間、撮影に没頭する。
ただ、きれいだと思ったものにレンズを向け、夢中でシャッターを押した。
フィルムを1本撮り終え、いつもよりゆっくりと食事をし、タバコを吹かし、野鳥のさえずりを聞き、再び撮影したり、河原の砂を観察したり…。
まるで根が生えたように、この場所に留まった。
その間に沢登りのおじさんが短パンいっちょで下って来たが、わざと目も合わさず、あいさつもしなかった。
この時間を邪魔されたくはなかったのかもしれない。
向こうがどう思っているかはわからないが…自分自身は、すごくイカしている気分になった。
ものすごく贅沢な時間を過ごしていると思った。
朝までのだるさや、胃の痛みや、憂鬱な気分を浄化してもらったような気になった。
気づくと…15:30を回っていた。
靴下は乾いていたが、靴は当然濡れたままだ。
現実に戻る為、靴をはき直し、靴ひもを結ぶ。(どうせ、もう一度濡れるからね)
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苔生した大きな岩の間をぬうように、下流へ進む。
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ほんの少し歩くと、丸太橋が流されていたポイントについた。
あれだけ苦労したのに、わずかしか進めなかったらしい…笑いさえ出てきた。
1回深呼吸すると、バシャバシャと沢を渡りだす。
距離にして4~5mくらいだが、ひざ下まで浸かり流れに押し流されそうになる。
無事に渡り終えるとザックを降ろし、カメラだけを持って岩を伝いながら撮影を行う。
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数段もの落ち込みの後、大きく右側に蛇行していく。
自分の感性のまま構図を決め、シャッターを切る。
水面10cm上で撮影している時は、ちょっとやばかったかもしれない(笑)
上流から斜光が入り、日中とは異なる趣を出している。
手持ちのフィルム2本を撮りきった時、16:00くらいになっていた。
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靴の中、グシャグシャ言わせながら、山道に戻る。
濡れた靴は変な感じだけど…衝撃吸収剤が入っているみたいで歩き辛くはない(笑)
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グワッ…グワッ…歩くたびに、カエルが鳴いているかのよう…(笑)
造林小屋を過ぎ、再び杉林に入る。
かなり急な勾配だ。
スキーなら問題ないのに。
疲労感など全く無いに等しいせいか足取りは軽く、あっという間に伝道沢まで戻ってきた。
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ここで顔を洗って…ラストスパートだ。伝道沢を渡ると…伝道までは、ものの数分だ。
見覚えのある林道に出ると、砂利道をひたすら進む。
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土砂崩れの箇所はたくさんある。
魚止橋直上の林道ショートカットの箇所までたどり着いたが…ショートカットせずに林道を進むことにした。
あの土砂崩れを見た後では、土を崩しながら歩く行為が…とても罪悪なものに感じてしまった。
こうして山に入ること自体が罪悪なのかもしれない…。
丹沢のオーバーユースは深刻な問題だ。
そうは思いながらも、訪れてしまう自分が丹沢に対して出来ることは、いったい何だろう?
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黙々と歩いていると、結構いろんなことを考えてしまうものだ。
自分がやりたいこと、周りの人に出来ること、何が大切で、自分の幸せの価値とか…。
こんな山の中なのに沢の水は力強く、果てることないような勢いを持っている。
自分達の人生も然り、流れは止まらず、うねりながら、あるべきところに流れていく。
しかし同じ流れは無く、その沢、ひとつひとつ、日ごとに異なる。
あ~、今日は哲学だなあ…。
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そんなことに思いを巡らせていると、あっという間に戻ってきた。
17:00を回っている…。日が延びたことを実感するなあ。
ちょっぴり悩み事が軽くなったような気がして、明日から、またがんばれそうな気がして、山登りとは言えないけど…。
本当はこういうことがしたかったのでは…と思う1日だった。

今回の教訓)
・沢歩き用にサンダルがあるといいかも。
・水周り撮影は…NDの効果の強いのが欲しいなあ。
・TATONKAのザックの肩パッドの追加工は効果あり。だいぶ楽だ。
・無茶なルートを取るのは事故のもと!
・大雨の後は丸太橋流失の恐れあり…って、本当だよ!鎖やワイヤーなんて役に立ってない!

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