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【過去記事】2003年 丹沢山~蛭ヶ岳 [山関連]

当時HPに載せていたものの転載になります。
登山コースや道路状況は当時のものですので、現状とは異なる場合があります。
ご了承ください。

目的地:丹沢山~蛭ヶ岳(神奈川県)
行動日:2003年 11月 18日(火)
天気:晴れ 時々 曇り
コースタイム/コース:
 塩水橋 04:15/林道
 堂平登山口 06:30
 丹沢山 09:00
 蛭ヶ岳 11:10
 不動ノ峰休憩所 12:50~13:30
 丹沢山 14:10
 塩水橋 17:00/林道
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蛭ヶ岳(1672.7m)/鬼ヶ岩岳より
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天気予報では小春日和だというので、急遽休みを入れて、未だ足を踏み入れていない丹沢山塊最高峰の蛭ヶ岳を目指す事とし、堂平より丹沢山経由で蛭ヶ岳に挑む。
山と高原地図28「丹沢」(昭文社)より

往路だけで軽く5時間はかかると思われるので、3:30に家を出て宮ケ瀬登山届ポストに登山届を投函、いつもの塩水橋の路肩に着いたのは、4:00を回った頃。
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真っ暗闇の中、車内の明かりを頼りに身支度を整え、塩水橋ゲートをくぐったのは 4:15。
舗装されているものの、漆黒の闇の中、ヘッドランプひとつ林道を登っていく。
かなりコワイ。
吐く息は真っ白だが、緊張している為か寒さを感じない。
ガードレールの反射板(オレンジの丸いの)をたどって、行き先を見極める。
時折シカやイタチ類の目が反射して、ドキッとしつつも 5:30頃、堂平登山口に到着。
遠くに街の明かりが見えるが、東の空は濃い紫に変わりつつある。
今回の目的として、蛭ヶ岳に登頂することの他、時間帯が早いこともあり、日出の撮影も行おうと考えていた。
ただし、ロケーションとして考えていたのは、天王寺尾根~丹沢山間のガレ場であった。
堂平登山口より、そのガレ場までは…1時間半近くかかる。
手早くi-modeで丹沢付近の日出時刻を確認する。6:17くらいだったか…。
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ガレ場まで間に合わないと判断し、登山口の傍らにある雨量計小屋の敷地で日出を待つことに。
さすがに動いていないと、めちゃめちゃ寒い。
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雲がピンク色に輝き出し、やがて真っ赤な太陽が顔を出した。
ここでトラブル発生!
日の出に慌て…三脚をひっくり返す。
敷地のコンクリにガチャンと打ちつけた後、斜面へEOS7と共に転がっていく!?
声にならない叫びを上げ、三脚の脚を捕まえ、引き上げる。
幸いレンズは割れていなかったが…フィルタ取り付け部のネジのところが欠けてしまった(T_T)
徐々に登っていく太陽が、山間を照らし出し、丹沢の朝が始まる。
とても、さわやかな雰囲気であるが・・・先のトラブルにより、気分は超ブルー。
このまま、帰ろうかとも思った(笑)が、6:30に意を決して登山道へ踏み込む。
朝の日差しは森に入り、長い影を作る。
ここのところのケースでは、雲の中であったり、霧が立ち込める朝ばかりだったので、明るい森は不思議な光景だ。
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早朝ということもあり、シカの群れを多く見かける。
やがて、堂平のブナの森に踏み込む。
ブナの葉は全て落葉しており、フカフカの絨毯を踏みしめながら、一歩一歩登っていくと…ある光景に愕然とした。
「嘆きの谷」にて(私が、そう呼んでいる、天王寺尾根への取付き部分の手前)今まで気づかなかったが、放置されているガラス瓶が目立つ。それも、1本や2本ではない。
「何で、ここにガラス瓶あんだよ!」思わず叫んでしまった。
さすがに、拾って帰れる量ではなく…悲しいかな、そのままここを離れる。
このところの山歩きで、登山者が落としたゴミ(アメやチョコの包み紙)が気になって、今回は見つけたら、拾って行こう~なんて考えていたが…。
何もしなかった自分に後ろめたさを感じながら、ただ、ただ、ここを離れようとしている自分自身に腹立たしさを感じ、超ブルーに陥る。
黙々と歩を進め、間もなく天王寺尾根に着く頃、北側斜面に霜柱を見つける。
ぱっと見、雪かと思った。
その光景に、少し癒される。
7:40、天王寺尾根に到着。見慣れた尾根道にほっとする。
日の当たる尾根道を早歩きで進む。ガレ場はもうすぐだ!
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久々に晴れたガレ場に到着。8:00のことだ。
このところ天気運に恵まれてなかったし、さっきまでのブルーな気分は少し和らぐ。
お腹も減ったし、朝食がてら、ここでしばらく撮影することにした。
雲が湧き上がる様子が、目の前に広がり、何か大いなる力を全身に感じる。
30分ほど、雲の流れに見とれつつ、無心にシャッターを切る。
はっと我に返り、山頂を目指して、再び登り始める。
山頂に近づくにつれ、辺りは雲の中…。
木道を越え、辿り着いた丹沢山の尾根道は、前回同様の乳白色の世界だった。
9:00頃、丹沢山頂みやま山荘に到着!
すでに先客2人がいたが、うち一人は私が来た宮ケ瀬方面へ、残りの一人はテーブルで湯を沸かし始めた。
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私は5分ほど休憩すると「お先に失礼します~」と蛭ヶ岳方面に進む。
一気に丹沢山西斜面を下る。私にとっては未知の領域だ。
行く手は雲に遮られており、どのように道が続いているのか、目指す蛭ヶ岳はどこなのかもわからない。
目新しい光景に、わくわくしながら歩みを進める。
しかし、それとは裏腹に尾根道の情景はうら寂しさを増していく。
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ただ、一面のクマザサの中に、一人分の道が尾根伝いに続く。
尾根道には強風が吹きぬけ、身体があおられる。
谷を見ると、眼下の山々は日が当たり、今自分がいる場所との、あまりの相違に笑ってしまうほどだ。
尾根を雲が次々と流れ、雲の中にいるんだなあ~と実感する。
いくつ峰を登って、下ったろうか?
途中、またまた三脚をひっくり返し、EOS7も泥だらけだ…(T_T)
吹きすさぶ風の中、だんだんと思考が麻痺してくる。
自分がどの辺りにいるのだろうかとか…どれくらい歩いたのかとか…何も考えられなくなって来た。
ただ、地球上の1点と化した自分が…ゆっくりとゆっくりと移動しているだけ。
まるで、その様は…クマやシカと相違ないような感じがする。
こういった感覚が得られるのも、こういう環境に放り出された賜物なのだろう。
ひとつ峰を登っている途中、休憩所と表示された小屋(半壊しているが)に差し掛かった。
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我に返って、小屋に入りザックをおろす。冷たくなった手でタバコを取り出すと火を点けた。
人間に戻ったような気がした。
地図を取り出し、この場所が不動ノ峰の休憩所であることを知る。
丹沢山~棚沢ノ頭の中間地点だ。
時計を見ると9:50であった。45分歩いても…棚沢ノ頭には到着しなかった。
この天候もあるだろうが、ペースが落ちていることを思い知る。
しかしながら、足が重いとか、息が続かないとか、身体的な疲労は感じない。
むしろ消耗しているのは、精神的なところだ。
そう思う。
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休憩所の裏には小さな不動明王が祭られている。私もこの山行の無事を祈願してきた。
再び、歩き出す。
ちょっと登ると不動ノ峰の道標が現れた。
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尾根伝いに登っては下り…。
相変わらず、クマザサの道に所々潅木があるだけで、視界は悪いし、風は強い。
鼻水が真横に飛んでいくほどの(笑)強い風だ。
更に尾根の左右は、切り立った崖…集中力を切らさないように努める。
10:20頃、棚沢ノ頭に到着。あと、40~50分歩けば蛭ヶ岳と思われる。
どうせ、景色は望めないだろうから、ピークに立ったら、さっさと下山して…。
さっきの不動ノ峰休憩所で昼食にしよう…そう考えた。
心なしか、早足で尾根道を進む。
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やがて目の前に大きな岩が現れた。鬼ヶ岩だ。
晴れていれば、眺望は良いのだろうが…見えるのは、岩場の下に続く尾根道のみ。
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岩場の傾斜にちょっと腰が引けたが、意を決して下る。
ここから踏み外して落ちたら…恐らく数日後の新聞記事に小さく載ることであろう。
強風にあおられつつ、クマザサの尾根道に降り立つ。
きっと目の前にある山が蛭ヶ岳だろう。
地図上そうだと思うが、何より直感的にそう思った。
しかし、山頂は更に雲に覆われ、登れど登れど、蛭ヶ岳山頂が見えない。
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階段を登っている時、ふと、建物が見えた。山荘だ!
階段の途中には、木の札がぶら下がっており…。
「がんばったね。犬」と書かれていた。
犬?
記憶をたどって…確か丹沢の山小屋で犬がいる所があったような…???
半信半疑で山荘の敷地に入ると、本当に犬がいた(笑)
中に入って休みたいのはヤマヤマであったが…暖まったが最後、動けなくなりそうな気がして、黙々と頂上まで進む。
蛭ヶ岳山頂に到着!1672.7m!!
山頂のテーブルには、先客がいた。
追ってもう一人おじさんが登ってきた。11:10のことである。
真っ白い視界の中、先客のお兄さんは、ひたすら雲が抜けるのを待っている。
おじさんは、写真を撮ると、いつの間にかいなくなっていた。
もしかしたら山荘に入っていったのかもしれない。
お兄さんと私は、この天気を恨みながら、時折雲の切れ間に見える、丹沢山塊に見入っていた。
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待っていると、少しずつ…少しずつ…見晴らしが良くなっていく。
時間が経つのを忘れ、ひたすらシャッターチャンスを待つ。
遠くは見通せないが、周りの山々は見渡せる状況になった。
思いがけない現状に、有り難味を感じ得ずにはいられなかった。
ありがとう~って叫びたい感じだ!
山荘前のベンチに腰かけ、三ッ峰越しに宮ケ瀬湖を眺めながら、ザックをおろし休憩する。
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傍らに犬が寄ってきて、私の様子をうかがっている。
まるで労ってくれているようで(笑)蛭ヶ岳まで、がんばってやって来て本当に良かった!
そう、素直に感じた。
山頂についてから1本フィルムを撮りきり、今回準備したフィルム2本、全てを消費した。
気づいたら…12:00になっていた。
いかんいかん、時間を取り過ぎた。
犬に「また来るね~」と別れを告げ、足早に下る。
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もと来た道は、少し雲も晴れ、山々が連なっている様子が何となくわかる。
鬼ヶ岩下ガレ場をロッククライミングのごとくよじ登り、ストック代わりに三脚をついて、ハイペースで進む。
振り返ると、蛭ヶ岳がきれいに見える。
やがて、視界には、塔ノ岳や竜ヶ馬場、大山まで見えてきた。
50分ほど経って、不動ノ峰の休憩所が見えてきた。
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幸い先客は無く、早速ストーブを出してお湯を沸かす。
今回はココアの他にインスタント味噌汁があるのだ。
さすがに空腹だったので、おにぎり3個を味噌汁で流し込む。
小屋の板壁が壊れており、風除けにはならなかったので…せっかく温まった身体が、みるみる冷えてくる。
歩いている方が良いなあと思い、13:30下山再開。
あまりゆっくりしていると、塩水橋にたどり着く前に日没になってしまう。
急がねば。
すでに歩くことのみに思考は集中し、その他のことは停止したように感じる。
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半ば根性のみで、斜面を駆け上がると…丹沢山頂に到着。14:10のことである。
この後、計算上では2時間半かかりそうだ…。日が落ちるなあ。
休む間もなく、ノンストップで天王寺尾根へと向かう。
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午後になり、日差しも弱まった薄曇の森をひたすら下る。
ストック代わりにしていた三脚の石突は取れてなくなっていた。
よく見ると…脚も曲がっている。
用途外の使い方をしているのだ、当然といえば当然の報いである。(T.T)
14:45頃、天王寺尾根~堂平分岐点に到着。
時間的に早い方へと、天王寺尾根を、そのまま下る。
見慣れた登山路だけに、脇目も振らずどんどん進むこと1時間半、ようやく尾根道から沢方面に下りる分岐点に到着。
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通りしな、モミジの色づきを発見。
良く見ると前回苦労した札掛方面の尾根には、紅葉が見受けられる。
今回は紅葉は諦めていただけに、来年、紅葉を撮るなら、こっちのコースに回ろうと思った。
17:00ちょい前、辺りが暗くなりかける頃、塩水橋に到着。
こうして、いつもながらハードな山登りは幕を閉じた。

今回の教訓)
・やっぱりストック買おう~
・携帯の電源切っとかなきゃ(つながんないとこではね)
 →今回、入れっぱで、下りて来たらバッテリーなかった(T_T)
  …って壊れかけているかもしれない。(水没歴有り)
   予備も用意しなきゃね。
・三脚も買わなきゃ…。
・レンズは、そのうち保障で直そう…。
・機能素材のシャツとか、衣類を考えよう。
 →汗でグショグショだった(T_T)
・積雪するまでは、ピークへはなしかな?

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